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格安SIMとは

目次

最近、格安SIM(シム)・格安スマホという言葉をよく聞くようになりましたね。

NTTドコモ・au・ソフトバンクなどの大手キャリアよりも料金が割安だと言う事で、今、注目を集めている、いわゆる「格安通信サービス」を表す言葉ですが、誰でもが使っても大丈夫なものなのでしょうか。

今回は、通信サービスにあまり詳しくない初心者さん向けに、「格安通信サービスとはなんだ?」というテーマでお話ししてみたいと思います。

できるだけ分かりやすい言葉を使って、初心者さんでも「なるほどね」と納得できるような解説にしたいと思いますので、最後までお付き合いください。

格安SIMとは~SIMの種類やサイズなど

まずは、そもそも「格安SIMとはなんだ?」と言う事で、言葉の解説を致します。

「格安」と言うのは、何に対して格安なのかというと、NTTドコモ・au(KDDI)・Softbankの大手キャリア3社の利用料金よりも割安で有る事を意味します。

また「SIM」は、正しくは「SIMカード」と言い、本来の意味は、スマートフォンや携帯電話に装着するチップ(小片)を指し、契約者の情報や通信に関する情報が書き込まれていて、このSIMをスマホに装着する事で、契約者が自分の電話番号で通話できたり、自分のメールアドレスでメールする等ができるようになります。

ただ、「格安SIM」と言った場合には、SIMは単にSIMカードの事だけを指すのではなく、「格安通信サービス」を表します。

つまり、格安通信サービスを契約するとSIMカードが貸出されて通話や通信ができるようになるため、SIMカードこそが通信サービスそのものだという考えから、「格安SIM」=「格安通信サービス」として使われています。

また、格安スマホとは、「格安SIMを装着して利用するスマートフォン」の意味と、「格安通信サービス会社で販売される割安なスマートフォン」の2つの意味があります。

格安SIMの種類~通話SIMとデータSIM

「格安SIM」を大きく2つに分けると、音声通話とデータ通信の両方が可能な「通話SIM」と、通話はできずデータ通信のみ可能な「データSIM」とがあります。

「音声通話SIM」は、090/080/070等の局番の「電話番号」を持っていて、その電話番号を使って電話をかけたり、電話を受ける事ができます。

通信会社を乗換える際に、それまで利用していた電話番号がいちいち変更になっていては不便なので、通信会社を変えても同じ電話番号を利用する事ができる制度(MNP=Mobile Number Portability=番号持運び制度)もあります。

また「通話SIM」はSMS機能を持っており、SMSメッセージ (ショートメッセージ) を送受信可能です。

「データSIM」はデータ通信専用のSIMです。

メールの送受信・SNS・WEB閲覧・動画や音楽のストリーミング再生など通話以外の通信が可能です。

「データSIM」には電話番号がありません。

通話SIMと同じような「090/080/070」等の番号を持っていますが、これは、あくまで識別番号であり、通話はできません。

電話番号がないので、当然、MNPで他社で同じ番号で利用する事はできません。通信会社を変更する場合には解約~新規契約となります。

格安SIMのサイズ~Micro SIMとnano SIM

SIMカードは、「標準」「micro(マイクロ)」「nano(ナノ)」の3種類のサイズがあり、スマホの設計や仕様によって、利用できるSIMのサイズが異なります。

SIMそのものに違いはありませんが、スマホが指定するSIMとサイズが違う場合には、スマホに装着できない場合や、無理に装着すると取り外せなくなる場合があるので、指定されたサイズを使用するようにしましょう。

スマートフォンのSIMサイズの確認方法

手持ちの端末を持込みで格安SIMを契約する場合、使用するスマホのSIMサイズを自分で確認する必要があります。

確認方法は、そのスマホの取説などがあれば記載されているはずですが、通信会社が提供する「動作確認済み端末」にSIMサイズが記載されているので、こちらの記載を参照しましょう。

機種や仕様によっては、特殊なSIMを使用する場合があるので、サイズだけでなく、利用の可否も含めて、契約する通信会社の「動作確認済み端末」の記載に従ってください。

格安通信サービスを利用する際、スマートフォンをセット購入する場合には、通信会社の方で購入したスマホに適したサイズのSIMを通信会社が選んで送ってくれますが、手持ちの端末を利用する場合は、SIMサイズをユーザーが指定しなければなりません。

4GLTE iPhoneは全てnano SIM、Androidはルールなし

スマホ端末で区分けすると、iPhoneはとてもシンプルなルールです。

iPhone5以降の4GLTE通信対応iPhoneは、最新のiPhone XS/XS MAX/XRまで全て「nano SIM」です。iPhone4sは「micro SIM」でした。

Androidは、製造メーカーによって機種名や仕様が各社バラバラなので、機種名で見分けるのは不可能です。 端末個々に、通信会社の「動作確認済み端末」を参照してください。

マルチカットタイプのSIMカード

SIMカードには3種類のサイズがあって、スマホに合ったサイズを選ばなければならないと書きましたが、最近では、3種類のサイズ全てに対応した「マルチカット」「マルチサイズ」と呼ばれるSIMカードが増えています。

マルチカットSIMは、1枚の大きなSIMから、「標準」「micro」「nano」の各サイズに切り出せるように加工されたSIMカードで、必要な大きさにカットして使用します。

3種類のSIMサイズ全てに適応しますが、大きいサイズを小さくカットしてしまった場合には、大きいサイズの枠と重ねて使用する事もできますが、SIMスロットの中で引っかかって出て来ない等のトラブルになる可能性がありますので、できるなら避けた方が無難です。

お金はかかりますが、新たにSIMの再発行依頼した方が良いかもしれません。

格安SIMの返却~NTTドコモ回線のSIMは要返却

格安SIMを契約すると、SIMカードが送られてきて、スマホにセットする事で、その通信会社のサービスを利用する事ができるようになりますが、SIMカードは本来「貸出品」です。

au(KDDI)・Softbankの回線のSIMは、解約時・MNP転出時に「返却せずに自分で処分してください」と言われますが、NTTドコモ回線のSIMの場合には、「SIMカードは要返却」である場合が多いようです。

実際に請求されたという話しはあまり耳にした事がありませんが、ルールとしては、ドコモのSIMカードを一定期間内に返却しない場合には、数千円のペナルティが課されるようになっています。

各MVNOのFAQ等に、「SIM返却先」の記載がありますので、解約時・MNP転出時には確認してください。 なお、郵送費は利用者負担です。

格安SIMの仕組み~料金が安い理由とは

SIMとは、本来SIMカードの事を指しますが、「格安SIM」と言った場合には、SIMそのものではなく、料金が割安な「格安通信サービス」を指す言葉である事は前項で説明いたしました。

では、「格安SIM」「格安通信サービス」の料金は、なぜ大手キャリアよりも割安にできるのでしょうか。
本項では、「格安SIM」が割安な理由について解説致します。

格安SIMが安い理由~徹底的に経費削減

「格安通信サービス」は、自前の通信回線を持たない「MVNO」が、大手キャリア(MNO)から回線を借りて提供している通信サービスですが、様々な面で経費を削減して、割安な通信サービスを提供しています。

経費の節減とは、簡単に言うと「お金のかかる事の切捨て」です。

「お金がかかること」とは、具体的には以下のようなことです。

  • ・自前の通信回線を敷設・保有しない。
  • ・店舗を持たない、あるいは最小限としている。
  • ・書面での利用明細や請求書を発行しない。カタログを発行しない。
自前の通信回線を敷設・保有しない

MVNOは、まず何よりも、割安料金の理由には、回線を大手から借りる事で「自前の通信網を敷設・保有しない」事が挙げられます。

MVNO= Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者)の名前の通り、通信回線を他社から借りる事で「仮想」的に、「移動体」(スマホや携帯)の通信事業を営んでいるわけです。

全国に基地局を作り通信回線を張り巡らすためには、莫大なコストがかかりますし、その通信網を管理・維持するためのコストも馬鹿になりませんが、MVNOは、通信回線を大手キャリアから借りることでコストを排除している事が、通信料金が割安である一番の理由です。

店舗を持たない、あるいは最小限に

「店舗を持たない、または少ない」事で、地代家賃・人件費・光熱費など、経費の中でも最もコストの高い部分を削減する事で支出を抑えています。

大手キャリアのように主要な駅前にショップを出店する事を控え、家電量販店のスマホ売り場や、街の携帯ショップなどでの対応が主となります。

店舗を持たない事で、地代家賃・人件費・光熱費などを削減することで、通信料金を割安に提供できる訳です。

店書面の発行をできるだけしない

さらに、紙の「料金明細」や「請求書」などを発行しない事で、印刷費・郵送代などを節約し、経費を削減しています。

さらに、カタログを発行しない等も同様に、人件費やデザイン料、印刷代などのコストを削減しています。

格安SIMは「安かろう悪かろう」ではない

上記のように、格安SIM(MVNO)の料金が安いのは、通信回線の品質が悪いと言う事ではなく、企業努力によって、無駄な経費や、不必要な部分を削って割安料金を実現しているからと言えます。

格安SIMが割安な料金を実現するために切り捨てた部分は、「格安SIMはダメだ」「けしからん」といった批判は的外れであり、割安料金実現のためにあえて切り捨てている部分だと言えます。

格安SIMが捨てた部分を「どうしても必要だ」と感じる方には格安SIMは向きませんし、逆に、切り捨てた部分が特に気にならない方は、格安SIMを利用しても不満なく利用できる可能性が高いと言えます。

大手キャリアと格安SIMの棲み分け

大手キャリアは多額のコストをかけて自前の回線を敷設し、継続的に管理メンテナンスを行い、主要駅前にはショップを展開し、明るい店内ではスタッフが丁寧で手厚いサービスを提供し、豪華なカタログを用意する等、至れり尽くせりのサービスを提供しています。

格安SIMはこうした大手キャリアの事業スタイルに対して、不要と思われる要素を排除する事で割安な料金を実現しており、大手キャリアと格安SIMは、まさに対極にあるサービス内容だと言えます。

手厚いサービスを提供しているから優れていて、サービスを簡素化しているから劣っている訳ではありません。それぞれが担う役割があり、それぞれの主旨に従って運営されている訳です。

車に例えれば、高級仕様の装備・設備満載の高級セダンもあれば、必要な機能だけに絞り込んだスポーツカーやSUVもありますが、いずれが自分にとって価値があるかは、利用する人が求める価値観によって異なります。

通信サービスも同じで、料金は割高だけど懇切丁寧で全てを任せておける大手キャリアか、必要な最小限のサービスに絞り込まれていて、ユーザー自身もある程度の知識や判断が求められる格安SIMか、利用者がどんなサービスを望むのかで、当然、棲み分けが必要になってくるわけです。

MVNOの通信速度が遅い理由とは

格安SIMの通信速度は、大手キャリアに比べて決して速くないはありません。

一部の例外を除いて、基本的に格安SIMの通信速度は大手キャリアよりも遅いのが現実です。

特に朝夕や昼時の通信集中時間帯(ピーク時)には通信速度が大きく低下するので注意が必要です。

通信速度は道路とクルマの交通量に例えると分かりやすい

では、なぜ格安SIMの通信速度が遅いのか、ピーク時間帯に通信速度の低下が起こるのか…ですが、格安SIMの通信速度の低下を理解するには、道路と交通量に置き替えると理解しやすくなります。

例えば、道幅の細い道路に多くの車が流入すれば渋滞が起き、走行速度が低下しやすい事は誰でも分かります。

通信速度も同じで、一定の通信回線に多くのユーザーの通信が集中し、トラフィック(データ転送量)が増加するに従って、通信の流れに渋滞が起こり、通信速度の低下が起こります。

トラフィックの集中は、その格安SIMが人気で多くの利用者を抱えているという意味もありますが、もっと切実なのは、1日の中で「朝夕の通勤時間帯」や「昼休み時間」など、多くの利用者がスマホを使用する時間帯が集中している事が、通信速度低下の最も大きな理由です。

渋滞の緩和は理屈としては簡単ですが、実行するとなるとなかなか大変です。

道路の渋滞を緩和・解消しようとすれば、道幅を拡幅し、2車線、3車線の道路にすれば渋滞は緩和・解消しますし、交通量が減少することでも渋滞は緩和・解消に向かう事は理屈としては簡単です。

しかし、実際に道幅を拡幅したり、車線を増やすとなれば、大掛かりな工事が必要で、費用も莫大なものになるため、簡単には着手できません。

通信の場合も同様に、通信回線を増強すれば通信の滞りは緩和されますし、利用ユーザーの集中がなくなりトラフィックが減少すれば、回線混雑は解消され通信速度は回復します。

しかし、格安SIMの事業者としては、理屈では緩和・改善の方法が分かっていても、なかなか実際にそれを実行するのは厳しいと言わざるを得ない状況にあります。

通信速度を改善したくてもできない理由

通信速度の低下を改善する方法は理論的には非常に簡単です。

  • 1. 大手キャリアから借りている通信回線を増強する(より多く借りる)
  • 2. 利用者(ユーザー)を減らす

非常に単純明快ですが、分かっていながらなかなかそれを実現できない理由があります。

通信速度の改善がしにくい理由 - ① 接続料が高額

「接続料」は、格安SIM各社が大手キャリアから通信回線を借り受ける際の「賃料」です。

接続料は、年々値下げにはなってはいますが、格安SIM各社にとって、決して割安と言える額ではありなく、格安通信会社の大きな負担となっていて、実はMVNOはあまり儲かっていないと言われています。

総務省資料:▶soumu.go.jp

こちらは、2013年~2015年の大手キャリア3社の接続料の推移ですが、最も安いNTTドコモでさえ月額67万円/10Mbpsを超える高額な回線賃料となっています。

例えば理屈で考えた場合、ドコモ回線の場合、674,818円/10Mbpsと言う事は、10人の利用者の通信速度を1Mbps改善するのに674,818円必要という事です。1万人の利用者の通信速度を1Mbps改善するためには6億74,818,000円かかる事になり、通信速度の改善には通信回線の増強が有効だと分かっていても、なかなか改善できないのは、「接続料」が大きな影響を与えています。

すでに100万回線を超えている、契約数上位のMVNOでは、全ての利用者の通信速度を改善するためのコストは天文学的な金額となってしまいます(実際には100万人が一度に集中する等あり得ませんが)。

通信速度の改善がしにくい理由 - ② 速度低下はピーク時のみ

格安SIMの通信速度の改善がなかなか行われにくいもう1つの理由は、速度低下がピーク時のみ起こる事です。

もし仮に、速度低下時を基本に回線を増強した場合、ピーク時以外の通信が空いている時間帯には、増強した通信回線は余ってしまい、無駄になってしまうわけです。

日本有数の大企業である大手キャリアと違って、格安通信各社は企業規模が大きくなく、資金面でもあまり余裕がないため、借り受ける通信回線を増やせばピーク時の速度は回復するのは分かっていても、なかなか余裕を持った回線を借りる事ができず、ピーク時の速度低下を避けられずにいるのが実情なのです。

MVNOのピーク時の速度低下は「宿命」

上記の2つの理由によって、速度低下の原因や改善方法も分かっているけれど、なかなか、ポンポンと簡単に改善する事は難しい…というのが、格安SIMの通信速度に関する「常識」です。

この事をもって、「格安SIMは、大手キャリアより通信速度が遅い」と言われる訳ですが、原因がわかっているのに、改善したくてもできない状況は、最早「宿命」と言えるのかもしれません。

唯一の例外UQmobile~いつでも大手キャリア並みの通信速度

同じMVNOなのに、UQ mobileの通信速度には定評があり、ピーク時でもほとんど速度低下を起こしません。

その理由は、UQ mobileの運営母体であるUQコミュニケーションズが「お金持ち企業」であるためです。

UQコミュニケーションズは、モバイル通信事業では、auから回線を借りる身ですが、モバイルWiFiサービスの「WiMAX」の回線保有企業(MNO)であり、「WiMAX」においては、auはじめ他社に貸し出すMNOの立場です。

「WiMAX」回線を貸し出す事で大きな利益を得ているため、他のMVNOよりも資金を潤沢に持っており、通信速度改善のための「回線増強」を余裕を持って実行できるため、通信速度が低下せず、常に高速通信、高品質だと言われています。

通信速度、通信品質でMVNOを選ぶなら、UQ mobile一択と言っても過言ではありません。

大手キャリアとMVNO

以下は、いわゆる「格安通信会社」の代表的な企業と、運営する格安通信サービスのブランド名です。

大手キャリア
(MNO)
格安通信会社
(MVNO)
系列
グループ
格安通信サービス
(格安SIM)(格安スマホ)
NTTドコモ 日本通信 独立 b-mobile
ソニーネットワーク 独立 NUROモバイル
BIGLOBE KDDI BIGLOBEモバイル
LINEモバイル Softbank LINEモバイル
ケイオプティコム 独立 mineo
au(KDDI) UQコミュニケーションズ KDDI UQモバイル
BIGLOBE KDDI BIGLOBEモバイル
ケイオプティコム 独立 mineo
ソフトバンク 日本通信 独立 b-mobile
ソニーネットワーク 独立 NUROモバイル
LINEモバイル Softbank LINEモバイル
ケイオプティコム 独立 mineo

格安通信会社は、大きく分けて「大手キャリア」(MNO)と同じ企業グループに属するMVNOと、大手キャリアと資本関係はなく「独立系」と呼ばれるMVNOがあります。

独立系MVNO

「独立系」は、大手キャリア3社のいずれとも資本関係がなく、大手キャリアから影響を受けないMVNOです。

例えば、「ケイ・オプティコム」は、「mineo(マイネオ)」ブランドで、NTTドコモ・au・Softbankの3社全てから回線を借りて格安通信サービスを提供していますが、大手キャリア3社との資本関係は全くありません。

同様に、日本通信は「b-mobile」のブランドでNTTドコモ回線と、Softbank回線のMVNOサービスを提供しています。

独立系MVNOは、資本関係がないため大手キャリアから影響を受けずに、自由なサービスを提供する事ができますが、グループ会社としての優遇を得られないため、通信速度等において、不利になるケースがあります。

通信速度、通信品質でMVNOを選ぶなら、UQ mobile一択と言っても過言ではありません。

大手キャリアのグループMVNO

NTTドコモは子会社MVNOを持ちませんが、KDDIは「UQ mobile」「BIGLONEモバイル」「J:comモバイル」、ソフトバンクは「LINEモバイル」を自社傘下のグループMVNOを持っています。

大手キャリアグループのMVNOは、「iPhoneラインナップ」や、「通信速度の安定化」など、大手キャリアと近い関係による恩恵を享受できるため、独立系MVNOよりも有利な立場にあると言われています。

前述の通信速度においては絶対的な存在である「UQ mobile」はもちろん、BIGLOBEモバイルも、LINEモバイルも、大手キャリア傘下のグループ会社となって以降、iPhoneをラインナップできるようになり、通信速度も高速安定化する傾向にあるようです。

ワイモバイルはMVNOではない

ここで、「あれ?ワイモバイルは?」と思った方がいらっしゃるかもしれませんが、実は、ワイモバイルは、ソフトバンクのグループ会社ではありませんし、回線を借りて通信サービスを提供する「MVNO」でもありません。

ソフトバンクという1つの企業の中に、第1の通信ブランドである「Softban」と共に、第2の通信ブランドとして「ワイモバイル」があるので、Softbank社そのものであり、グループ会社ではありませんし、自社で回線を保有するMNOです。

ワイモバイルは大手キャリアSoftbankの中で、割安料金部門を受け持っているサブブランド(第2のブランド)なのです。

「大手キャリアが社内に持つ第2のブランド」という厳密な意味でのサブブランドは、国内ではワイモバイルのみですが、KDDIグループ内においては、UQ mobileがau(KDDI)のサブブランド的な立場であるため、ワイモバイルと同グループに括られて「サブブランド系」と分類される場合があります。

大手グループMVNOの優位性

大手キャリアの企業グループに属するMVNOは、「料金」「iPhone販売」「通信速度」「信頼感・安心感」などで、独立系MVNOに対して優位性があるされています。

特に、通信速度に関しては、総務省の会合等でもケイオプティコム(mineo)や楽天モバイル等が、大手キャリアがグループMVNOを優遇しているのではないか…と意見する程、大手グループMVNOが秀でています(特にUQ mobile)。

前述の通信速度においては絶対的な存在である「UQ mobile」はもちろん、BIGLOBEモバイルも、LINEモバイルも、大手キャリア傘下のグループ会社となって以降、iPhoneをラインナップできるようになり、通信速度も高速安定化する傾向にあるようです。

もちろん、大手キャリアも大手グループMVNOもこれを否定していますが、回線の賃料を安くするなどの直接的な優遇はないにしても、大手グループ企業で有る事は、有形無形のメリットがあるはずです。

また、iPhone販売についても、MVNOでは大手グループだけが正規ランナップとして販売できています。

Appleは、iPhoneの取扱いには一定の販売量を課すと言われていますが、独立系MVNOではこの販売量をクリアする事ができないためMVNOはiPhoneを販売できませんが、大手グループMVNOは、親会社の販売数との合算で取扱いができる事も大きな優位性です。

企業としての信頼感・安心感についても、日本有数の大企業のグループ会社である事は、独立系MVNOにはない大きな優位性と言えます。

格安通信サービスどうしの競争として見れば、少々不公平な感じもしますが、利用者がそんな「正論」に付き合う必要はありません。

利用者にしてみれば、他社と公平だろうが、不公平だろうが、「速くて安いSIM」を提供してくれる通信会社が「是」なのであって、そういう意味で、大手キャリアのグループMVNOは「是」に近い存在として要注目です。

MVNOのマルチ・キャリア化

上図で分かるように、多くの格安通信会社が複数の通信回線を使った通信サービスを提供しています。

UQ mobile以外は全て、2社以上の大手キャリアから回線を借りて格安通信サービスを提供していますが、このように複数の回線の通信サービスを提供する通信会社を「マルチ・キャリア」と言います。

多くの場合、日本通信や、ソニーコミュニケーションズのように「ドコモ」と「Softbank」、BIGLOBEのように「ドコモ」と「KDDI」など、2社の回線サービスを提供するケースが多いのですが、中には、ケイ・オプティコムのように、3社全ての回線のサービスを提供する場合があり、これをマルチ・キャリアの中でも特に「トリプル・キャリア」と称する場合があります。

MVNO各社がマルチ・キャリア化を目指す理由については、別項で詳しくご紹介します。
ここでは、マルチ・キャリアという存在だけを分かって頂ければ結構です。

格安SIMを利用するメリットとデメリット

自前の回線を敷設・管理する大手キャリアではなく、自前回線を持たず、ショップも少なく、利用明細などの書面を発行しないMVNO(格安通信会社)を選ぶメリットは、何と言ってもその「料金の安さ」にある事は明白ですが、実は、それ以外にもMVNOを選ぶメリットがあります。

格安SIMを利用する6つのメリット

格安SIMを利用する事のメリットを「割安料金」も含め6つピックアップしてみます。

格安SIMのメリット(1) 料金の安さ

やはり、格安SIMを利用する事のメリットの第一は「料金の安さ」です。

一般的な大手キャリアの通話サービス(かけ放題)込みの月額支払額は、データ容量3~5GBの2年契約プランで8,000~9,000円が相場ですが、同等の容量を使用したとしても、料金は2,000~3,000円以内に収まってしまいます。

つまり月間の料金差は少なく見積もっても4,000~5,000円もあり、年間の差額は4~5万円の差も珍しくありません。

通信会社 NTTドコモ mineo UQmobile
区分 大手キャリア MVNO 大手Gr MVNO
プラン 旧プラン ギガライト 3GBプラン プランS
5分かけ放題 1,836円 756円 918円 込み
データ容量3GB 4,320円 4,298円 1,630円 2138円/3218円(※)
ネット接続料 324円 - - -
月額料金 6,480円 5,054円 2,548円 2138円/3218円
24か月料金 155,520円 121,296円 61,152円 64,272円
iPhone XR 64GB 31,104円 91,584円 91,584円 91,584円
料金+端末総額 186,624円 212.880円 152,736円 155,856円
iPhone 7 32GB 3,888円 54,864円 54,864円 47,196円
料金+端末総額 159,408円 176,160円 116,016円 111,468円

※金額は全て税込表示 ※mineoのかけ放題は10分です ※端末価格・料金は2019年4月現在のデータ

こちらは、NTTドコモの料金プラン(旧プランと新プラン「ギガライト」)、MVNO代表で「mineo」、大手グループMVNO代表で「UQ mobile」を、3GB容量で2年間利用した場合の月額料金と、24か月間の料金総額、さらに、「iPhone XR」と「iPhone 7」を一括購入した場合の「2年間通信料金+端末代」の比較です。

端末代金は、NTTドコモの旧料金と、UQ mobileのiPhone 7以外は、Apple Online Storeでの端末購入としてシミュレーションしています。

NTTドコモの新プラン「ギガライト」は、本稿執筆時点で新たな端末割引制度が発表されていないため、Apple StoreのSIMフリーiPhoneを購入するシミュレーションとなっています。

iPhone XR は、Apple Online Storeでは91,584円ですが、NTTドコモの旧プランでは実質31,104円で購入でき、端末代金の差額は約6万円もありますが、24か月間の料金と合算すると、ドコモ:18万6,624円に対して、mineo:15万2,736円、UQ mobile:15万5,856円と、逆にドコモの方が3万円~3万3,000円割高となっています。

iPhone 7購入の場合でも、NTTドコモ旧プランでは僅か3,888円の端末代金に対して、MVNOでは、mineoがApple Store版で54,864円、UQ mobileはUQ版で47,196円と、4万4,000~5万円もの大きな差があります。

しかし、料金との合算では、ドコモが4万3,000円~5万円の割高となってしまいます。

これらの事例を見ると、料金の安さが支払額にどれほど重要かが良く分かります。

ユーザーの皆さんが割高だと感じているApple StoreのSIMフリーiPhoneを購入した場合でも、通信サービスに格安SIMを利用する事で、月間・2年間いずれの支払額も、大手キャリアを下回ります。

極論すれば、「端末を割安に購入できるから大手キャリアの方が得だ」というイメージは、大手キャリアが作り上げた幻想であって、現実には、端末の割引分はすべてプラン料金で回収されているという事になります。

格安SIMのメリット(2) SIMフリーのスマホ端末を購入できる

大手キャリアで販売されるスマートフォン端末は、ほぼ全てが「SIMロック」されています。 大手グループMVNOで販売されるiPhoneは、大手キャリアで「SIMロック」されています。

SIMロックされた端末を他社回線で利用するためには「SIMロック解除」が必要です。
例えば、NTTドコモで購入したスマホは、au・Softbankで使用できず、auで購入したスマホはドコモ・Softbankで利用できないといった具合です。

他社回線で利用するためには、SIMロック解除を行い「SIMフリー端末」にする事が必要です。

大手キャリアの「SIMロック」端末を「SIMロック解除」した端末も「SIMフリー」端末にする事ができますが、中古端末の販売などで、Apple Storeの純粋な「SIMフリー」と、SIMロック解除した「SIMフリー化済」「SIMロック解除済」とを区別する場合があります(機能的には変わりません)。

通信回線を選ばず利用できる「SIMフリー」端末はMVNOの乗換え時にも便利ですが、最近、増加しているマルチ・キャリアでは、ユーザーの希望に応じて1社の中で回線を切り替える事ができますが、SIMフリー端末なら、どの回線をチョイスしても問題なく利用できます。

格安SIMのメリット(3) 2年契約+自動更新プランがない

大手キャリアのグループMVNOを除いて、基本的にMVNOは「2年契約」プランはありません。 必然的に、契約が自動更新されるプランも存在しません。

MVNOの料金プランは、音声通話SIMの場合には「最低利用期間」が設定(大抵1年間)され、この期間内の解約やMNP転出には、契約解除料などの「違約金」的な費用が請求されます。

中には、日本通信のように、通話SIMの最低利用期間が4か月間と短いケースもあります。

格安SIMのメリット(4) 通話半額アプリと10分かけ放題

大手キャリアにないMVNOだけのサービスとして、「半額通話サービス」があります。
「プレフィックス電話」「中継電話」と呼ばれるもので、割安な通話回線を経由して通話する事で、通話料金が通常の20円/30秒→10円/30秒の半額となるサービスです。

相手先電話番号の前に特定番号を付加して発信する事で、割安な回線を経由した通話となる仕組みです。 各社、自動的に特定番号を付加する「半額通話アプリ」と言われるアプリを配布しています。

「半額通話サービス」は、月額基本料などはかからず、サービスを利用して発信した通話料のみ請求となります(受話した電話料金は発信者が支払います)。

また、「半額通話サービス」を利用した「かけ放題」サービスも提供しています。
MVNOのライトタイプのかけ放題サービスは、大手キャリアよりも長い「10分間」を無料としています。 ちなみに、時間制限のないフルタイプの「かけ放題」はほとんど存在しません。

かつては、通話は大手キャリアの方が割安と言われた時代がありましたが、現在では、通話に関してもMVNOの方がかなり割安な料金となります。

格安SIMのメリット(5) データ専用SIMは最低利用期間がない

格安SIMでも、音声通話SIMでは「最低利用期間」という利用期間制限がありますが、データ専用SIMには「最低利用期間」等の利用期間を拘束する設定はなく、自由なタイミングで解約する事ができます。

ただし、中には、楽天モバイルのように、エントリーパッケージを使用した場合には、データSIMであっても半年間の「最低利用期間」が設定されるケースもありますので、契約条件は充分に確認する必要があります。

格安SIMのメリット(6) MVNOのマルチ・キャリア化

前項で触れた「マルチ・キャリア化」もMVNOのメリットの1つと言えます。

マルチ・キャリア化は、1社の通信会社が複数回線の格安通信サービスを提供することですが、MVNOがマルチ・キャリア化する事で、利用者には2つのメリットが生じます。

■大手キャリア版スマホのSIMロック解除が不要

大手キャリアで購入したスマートフォンをSIMロックされたままで利用できる事です。

SIMロックは、端末を購入したキャリアの回線であれば、MVNOのサービスでもSIMロック解除不要で利用できるルールになっているため、例えば、ドコモで購入したスマホをドコモ回線のMVNOで利用する場合には、SIMロック解除は必要なくそのまま利用する事ができます。

そのため、MVNOのマルチ・キャリア化は、利用中の端末を持込みでMVNOに乗り換える場合に、SIMロック不要で利用できる「間口」が広がるというメリットに繋がります。

2種類の通信回線の格安通信サービスを提供していれば、その2社のキャリアで購入したスマホがそのまま利用できますし、mineoのように、3社全ての回線サービスを提供している場合には、3社全てのキャリアで購入した端末全てをSIMロック解除なしにそのまま利用する事ができるわけです。

最近では、ユーザーが面倒なSIMロック解除手続きを嫌う傾向にある上、1台のスマホを大切に長期間利用する傾向もあり、多くのユーザーが、手持ちのスマホ端末を継続的に利用しつつ、MVNOへの乗換えを検討しています。

これに対してMVNO各社は、SIMロック解除不要で手持ち端末を利用できる「受け入れ間口の拡大」のため、マルチ・キャリア化を進めています。

■MNPする必要なく回線を切り替えられる

本来であれば、ドコモ→au、au→Softbank等の回線の乗換えには、他社への乗換えが必要で、通話SIMの場合には、電話番号を移転するために、MNPという面倒な手続きを行う必要がありました。

しかし、MVNOがマルチ・キャリア化する事で、他社へ乗り換えなくても、1つの通信会社の中で、簡単な手続きで回線を切り替えられるようになっています(一部のマルチ・キャリアMVNOです)。

MNPを使った乗換えをすると、旧通信会社に「MNP転出手数料」を支払い、乗換え先の通信会社に「初期手数料」支払うため、最低でも5~6,000円のコストがかかっていましたが、社内での切り替えであれば、切り替え手数料2~3,000円で済むケースもあり、コスト的にも有利です。

例えば、3種類の回線全ての格安通信サービスを提供するmineoでは、回線の切換え(mineoの場合プラン変更と言います)は、2,000円のプラン変更手数料と、SIM発行手数料(回線によって230~341円)のみで変更する事ができ、利用期間やデータ容量等もそのまま引き継ぐ事が可能です。

■ 回線切換えは全てのMVNOで可能ではない

マルチ・キャリアのMVNO全てが、社内で回線を切り替えられる訳ではありません。 mineoやLINEモバイルなど、一部のMVNOで社内での回線切換えが可能です。 事前に、各社WEB及びサポートへの問い合わせなど、確認をしてください。

格安SIMを利用する上での5つのデメリット

格安SIMは、利用者を選ぶサービスです。
利用者によってはマイナスに感じる事もありますので、格安SIMを利用する事のデメリットを5つピックアップしてみます。

格安SIMのデメリット(1) 通信速度の遅さ

格安SIMを利用する上で、最も大きなデメリットとなるのは、通信速度の遅さです。

先にも述べたように、MVNOはどうしても余裕のある回線確保ができず、通信が混雑するピーク時間帯には通信速度が低下してしまう傾向があり、ある意味で、MVNOの「宿命」のようなものと言えます。

MVNO各社は改善する方法を知らない訳ではありませんが、様々な事情で思い切った改善策を採る事ができずにいます。

ただし、一口にMVNOと言っても各社によって通信速度は異なりますし、速度低下した場合でも、どの程度まで低下するかは、各社異なります。

こちらは、LINEモバイル(Softbank回線)と、楽天モバイル(ドコモ回線)の通信速度の計測結果の一部です。

同じMVNOと言っても、実際の通信速度にはこれだけの違いがあります。特に、楽天モバイルの昼12時台の落ち込みに注目してください(計測タイミングは同時ではありません)。

通信速度を見る際には、最高速や速度が出ている際の速度の比較は、人間が体感できないため無意味です。重要なのは、速度低下を起こした時に、どこで留まるか、どこまでで踏ん張ってくれるかです。

「1Mbps」は、不快を感じない実用的な通信速度の下限目安とされていますが、楽天モバイルは、計測期間中何回も1Mbpsを下回っていますが、LINEモバイルの方は1Mbpsを辛うじて割込まずに踏ん張っています。

さらにこちらをご覧ください。

こちらは、本稿でも折々でご紹介しているUQ mobileの通信速度の計測結果の一部です。

前出のLINEモバイル、楽天モバイルの計測と時刻はバラバラですが、計測地点は同じにも関わらず、次元が違うと言えるほどの通信速度の違いが記録されています。

正直、ここまでになってしまうと、50Mbpsだ、70Mbpsだ、90Mbpsだと言っても、最早、人間の体感では速度の違いは関知できなくなり、単に「速い!」ということしか分からなくなります。

それだけ常に高速で安定した通信を提供できているという事でもあります。

MVNOの通信速度は、大手キャリアと比べて概して遅いですが、その中でも、実用速度1Mbpsを「割る・割らない」の差が通信サービスによってありますし、UQ mobileのような別格の存在もあると言う事は分かって頂けると思います。

MVNOを選ぶ際には、速度低下時に1Mbpsを割るか、割らないかを1つの目安としてみてください。 (ただし、ほとんどの通信サービスが割込んでしまいますが)

格安SIMのデメリット(2) ショップが少ない、サービスが手厚くない

格安SIMのもう1つ大きなデメリットは、ショップやサポート体制の問題です。

前述の通り、MVNOは様々な部分を切り捨てる事によって割安料金を実現していますので、大手キャリアと同等の窓口の多さや、サポート体制、サービスの手厚さを求める事はできません。

「できません」と言うか、そういうサービスではないという認識を持ってください。

サービスが行き届かない、サポートが最小限と言う事は、何か問題が起こった時にはユーザー自らが調べる、勉強する、対応するといった事が求められるという点で、MVNOは、ある程度のリテラシーが求められるサービスであると言えます。

デメリットの項に書いていますが、これらの事は、決してデメリットではなく、サービスの内容や性質として理解すべき事です。

格安SIMのデメリット(3) 端末値引きがない

大手キャリアからMVNOに乗り換えて驚くのは、プラン契約時に端末をセット購入しても、端末の割引がほとんど行われない事です。

大手キャリアは、2年契約+自動更新を前提に、24回分割支払いで端末を大幅に値引くのが当たり前ですが、2年契約でないMVNOでは長期利用によって得られるプラン料金の収益が確保されませんし、プラン料金自体が「格安」ですので、それを原資に端末を割り引く事はできません。

前項、MVNOのメリット①「料金の安さ」で解説したように、大手キャリアの端末の大幅値引きは見せかけで、通信料と合わせた実質支払額は、MVNOよりも遥かに高額となってしまいます。
(参照先:▶格安SIMのメリット(1) 料金の安さ)

最初は、値引きがない事に驚くかもしれませんが、総支払額を比較して見れば、決してデメリットではない事がわかるはずです。

格安SIMのデメリット(4) キャリアメールが利用できない

大手キャリアでは、「@docomo.ne.jp」「@ezweb.ne.jp」「@softbank.ne.jp」等の、いわゆるキャリアメールを使用できましたが、MVNOでは利用する事ができません。

多くのMVNO利用者は、「G-Mail」や「Yahoo!メール」等のフリーメールを使用しますが、キャリアメール以外を受信拒否する設定の大手キャリアユーザーには、メールが届かなくなってしまうデメリットがあります。

格安SIMのデメリット(5) 経営基盤が脆弱である

テレビCMを放映するなど、派手な活動をしていたMVNO「FREETEL」が破綻した事で、MVNOは意外に経営基盤が静寂である事が世間に知れる事となりました。

幸い、楽天モバイルがFREETELを吸収する事で、利用者が路頭に迷う事はありませんでしたが、あまりに小さなMVNOは、いくらプラン内容が良く、料金が安いとしても、FREETELの前例があるだけに少々怖いものがあるのは事実です。

先の通信速度改善についてでも解説したように、「WiMAX」のキャリアであるUQ mobileを除いて、経済的基盤がしっかりしていると言われるMVNOは数えるほどです(運営会社を調べると見えてきます)。

とは言え、ベンチャーが最初から大企業で有るはずがないので、MVNOが企業として大きく強くなってゆくのはこれからとも言えます。

格安SIMのススメ~使っていい人とダメな人

料金を大手キャリアの半分以下にできるケースも珍しくない格安SIMを、より多くの方に利用して欲しいと思いますが、格安SIMは万人にお勧めできるサービスではないのも事実です。

格安SIMユーザー満足度調査

ここでは、格安SIMを利用するユーザーの満足度についての調査結果を見てみましょう。

こちらは、MMD研究所が2018年3月実施の、格安SIM上位15社の「2018年3月格安SIMサービスの満足度調査」の調査結果です。

一番上の「全体」を見ると、格安SIM利用者のうち、16.3%が「とても満足」、55.0%が「やや満足」と回答しており、格安SIMの利用者の71.3%が満足を得ています。

逆に不満と回答したのは、全体の5.5%でした。

こちらは同じ調査を上位9社に対して、1年後の2019年3月に実施した調査結果です。

格安SIMを利用した人の18.9%が「とても満足」、57.8%が「やや満足」と回答、合わせて76.7%が「満足」と回答しています。

「やや不満」「とても不満」を合わせた「不満」だった利用者は5.6%でした。

このように、格安SIMは使ってみると意外に満足度の高いサービスである事がわかります。

1年間で、満足の比率が5%ほど上昇している事も、格安SIMのサービスが充実し、より多くのユーザーが満足を得やすくなっている事を表しています。

こんな人は格安SIMに向いていない

格安SIMへの不満は何かと尋ねた際に得られる回答の多くは、「ショップが少ない」「サービスが悪い」「サポートが不満」といった事柄です。

しかし、こうした事柄は、格安SIMが「力を入れているのに劣っている」という事ではなく、ショップやサービス、サポートといった面は、割安料金のために「切り捨てている」と言う事はすでにお話ししました。

通信会社に限らず、一般的に考えて、世の中に、サービス内容やサポート体制が全く同じなのに、片方だけ料金が半分以下…等と言う事があり得ると思われますでしょうか?

MVNOは、「ショップもありません、サービスやサポートは最低限です、でもその分だけ割安な料金で、通話・通信サービスを提供します」というサービスなのです。

格安SIMは、問題が起こった際、分からない事が生じた際に、ユーザー自らが調べ学んで、自分で対処する事を求められますが、それに納得がゆかない方は、MVNOサービスを利用すべきではありません。

どうしても「ショップでの相対での接客」や「手厚いサービス」「行き届いたサポート」を望まれる方は、格安SIMを利用しない方が良い方です。

格安SIMはそうした要望には応えられませんし、応えようとしていません。

そうした事を重視しているのが大手キャリアであり、それなりの料金を支払って利用するサービスという事になります。

もちろん、そうしたユーザーの要望にも応えようと、ショップの数を増やす等を行っている格安通信会社もありますが、大手キャリアのレベルに追い付けるはずもありません。

料金を安く済ませたいなら格安SIMを使うべし

「料金が安くなるなら多少の事は厭わない」という、料金重視の方は格安SIMにむいている方です。

通信会社 NTTドコモ mineo UQmobile
区分 大手キャリア MVNO 大手Gr MVNO
プラン 旧プラン ギガライト 3GBプラン プランS
5分かけ放題 1,836円 756円 918円 込み
データ容量3GB 4,320円 4,298円 1,630円 2138円/3218円(※)
ネット接続料 324円 - - -
月額料金 6,480円 5,054円 2,548円 2138円/3218円
24か月料金 155,520円 121,296円 61,152円 64,272円
iPhone XR 64GB 31,104円 91,584円 91,584円 91,584円
料金+端末総額 186,624円 212.880円 152,736円 155,856円
iPhone 7 32GB 3,888円 54,864円 54,864円 47,196円
料金+端末総額 159,408円 176,160円 116,016円 111,468円

こちらは、「格安SIMのメリット」の項で使用した比較表の再掲載ですが、端末代金を除いた「通信料金」の差は、2年間で9万円近くもの差として歴然と数字に現れています。

Apple StoreでのiPhone XRの価格は91,584円ですので、2年間の料金差でiPhone XRが1台購入出来てしまう程の差があり、これは決して小さな差とは言えないレベルです。

ドコモは先日、いわゆる分離プランの新しい料金プランを発表しましたが、先行しているau・Softbankの追従で目新しい内容ではありませんでした。

現時点では、端末購入に関する施策が発表されていないので、今後の「総支払額」がどのように変わるのか分かりませんが、少なくとも、新プラン「ギガライト」の料金体系は格安SIMにとって脅威とはなり得ない設定です(NTTドコモ「ギガライト」の料金参照)。

やはり、料金を今より下げる事に注目するのであれば、格安SIMへの乗換えの検討は必須と言えます。

格安SIM上級者にお勧めの裏技

格安SIMへの乗換えは料金を安くできる事は分かったが、乗換え時に電話番号を移設する手続き(MNP)は手間ですし、乗換えは1度だけでなく、より良いサービスを求めて、2度、3度と繰り返すかもしれず、その都度、MNP手続きを行うのは面倒と思われるかもしれません。

そうした場合に、格安SIM上級者にお勧めなのが、AndroidスマホのDSDS・DSSS機能の活用です。

DSSSは「デュアルSIM・デュアルスタンバイ」、DSSSは「デュアルSIM・シングルスタンバイ」の略で、いずれも、1台のスマホに2枚のSIMカードを格納できる機能です。

DSDSは、2枚のSIMで同時にスタンバイ(待受け)が可能な機能、DSSSは、SIMカードは2枚格納できるが同時に使用できるのは1枚のSIMのみという違いがあります。

この2枚のSIMを格納できる機能を使って、電話番号の乗換えを1回だけで済ませてしまおうという裏技です。

方法は簡単です。

  • 1. 現在の電話番号付きの契約を、音声通話プランの最も安いMVNOにMNPします。
    この音声通話機能付きのSIMは、ずっと利用して、2度目のMNPは行いません。
  • 2. 音声通話付きSIMの契約とは別に、データ専用SIMを好きなMVNOで新規契約します。
    このデータ専用SIMは、いつでも好きな時に解約、別会社で契約を繰りかえす事が可能です。

つまり、SIMカードを音声通話用と、データ専用と2枚に分離して、通話SIMはずっと継続して利用することで、2度目以降の乗換えを行わない事で、MNPの手間や手数料を1回きりにします。

実は、通話は通信会社による品質の差がありません。
通話回線は、大手キャリアの「卸販売」なので、どのMVNOも大手キャリアの通話回線をそのままユーザーに貸し出していますので、料金が最も安いMVNOでの契約でも全く問題ないのです。

候補としては、月間499MBまではデータ通信が無料のNUROモバイル「0SIM」(音声SIM月額700円)や、日本通信「b-mobile S 990ジャストフィットSIM」(従量制課金制音声SIMで最少1GBまで月額990円)、LINEモバイル「LINEフリープラン」(音声SIM1GBで月額1,200円)等があります。

日本通信とLINEモバイルは通話SIMの方にもデータ容量がありますので、データSIMで、1GBを契約すれば月間2GB、3GB契約すれば月間4GB利用する事ができますし、BIGLOBEモバイル等の「エンタメフリー」等のオプションを利用して、さらに料金を割安に利用する事も可能です。

データSIMは、好きな時に解約し、別会社で契約を繰り返し行っても、最低利用期間がありませんので「契約解除料」の対象にもなりませんし、MNPの手数料もかかりませんので、「お、これは!」と思ったデータ専用プランに、好きなタイミングで次々に乗り換える事が可能です。

iPhoneも、iPhone XS/XS MAXからDSDS機能を搭載しましたが、日本ではその機能を活かす事はできません。

それは、日本仕様のiPhoneが、DSDSの片方のSIMを「eSIM」仕様にしているからです。

香港などのように、2枚とも物理的なSIMカードを装着できれば、Androidと同様の利用方法が可能ですが、日本では、国内コンシューマ(一般利用者)向けの「eSIM」サービスは提供されていないため、音声通話SIMと、データ専用SIMを別々の契約に分離して、1台のiPhoneで使い分ける事は不可能です。

格安SIM まとめ

ここまで「格安SIM」について見てきましたが如何だったでしょうか。

「格安SIM」の最大の魅力は、やはり何と言っても「割安な料金」です。

例えば筆者と家内は、共に「LINEモバイル」を利用していますが、事務所の「WiFi」環境下に居る事が多い私は、最小プランの「LINEフリープラン」(1GB)の通話SIMで、回線はSoftbankを選択、家内は同じくSoftbank回線の「コミュニケーションフリープラン」(3GB)の通話SIMです。

通話サービスは、LINEモバイルの「いつでも電話」を利用せず、通信会社を移動しても利用できる「G-Call」で半額通話サービスを利用しています。10分かけ放題もありますが、通話量が少ないので、半額通話だけで充分です。

料金は、私が月額1,200円+税、家内が1,690円+税で、通話量は「G-Call」の無料通話分で賄えているので、料金は基本料のみで済んでおり、2回線合わせて、月額2,890円+税です。

最初はかなり速かったLINEモバイルSoftbank回線ですが、最近は、ピーク時間帯に速度低下を起こすようになってきていますが、辛うじて1Mbpsを保っている感じで、相対的な評価は、10点満点中8点といった感じです。

知人によく「格安SIMはどう?」と聞かれますが、「ショップはよく行く?」と尋ねます。 やはり、MVNOの弱点はショップでの相対接客ですので、それをよく利用する人には、格安SIMは向かないと思うからです。

契約以来行った事がない。

そんな方なら、格安SIMでも全然問題なく快適に利用できるのではないかな…と思います。

私自身は、格安SIMが好きですし、大手キャリアから出てすでに5年が経っていますので、大手キャリアの方がいい…という気持ちはまるっきりありませんが、大手キャリアを継続した方がよい方もいるのも、また事実です。

【付録】格安SIM関連用語解説

  • ■格安通信サービス・格安通信会社
    格安通信サービスとは、ドコモ・au・ソフトバンクの大手キャリアよりも割安な料金で提供される「モバイル(スマホや携帯)通信サービス」の事です。 格安通信会社とは、格安通信サービスを提供する企業のことです。
  • ■格安SIM・格安スマホ
    SIM(シム)とは、スマートフォンが通信を行うために必要な情報が書き込まれている「チップ(小片)」の事で、「格安SIM」とは、格安通信サービスをスマートフォンで利用するためのSIMを言います。 つかり、格安通信サービスが発行しているSIMの事というわけです。 格安スマホとは、「格安SIMを装着したスマートフォン」の事ですが、買いやすいリーズナブルなスマートフォンという意味もあります。
  • ■MVNO・MNO
    MVNOとは、Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者)の略です。 格安通信会社は、莫大な費用がかかるモバイル通信の回線を自前で持たず、大手キャリアから借り受けて「格安通信サービス」を提供しており、これを「仮想」的な通信事業者という意味で「MVNO」と呼びます。 MNOとは、Mobile Network Operatorの略で、「virtual」が付かないことから、自前の通信回線を保有する事業者、つまり大手キャリア3社を指します。
  • ■サブブランド
    「サブブランド」とは、通信会社の第2の通信ブランドを意味します。 厳密に言うと、国内のサブブランドはソフトバンクが運営する「ワイモバイル」だけを指しますが、KDDIグループ内で、ワイモバイルと同様の立場や役割を担う「UQモバイル」もサブブランドに含める場合があります(UQモバイルは厳密に言うと「MVNO」です)。
  • ■MNP
    MNP=Mobile Number Portability(番号持運び制度)。 現在利用している電話番号を、他の通信会社へ乗り換えた後も継続して利用するための制度です。
    この制度ができるまでは、通信会社を変更するたびに電話番号が変更になって、知人友人に新しい電話番号を伝えるのが大変でした。
    MNPは旧通信会社に「MNP予約番号」を発行して貰い、15日間の有効期限内に手続きを完了した場合に、乗換え先の通信会社でも同じ電話番号を利用する事が可能です。